冷酷な王さまは愛し方を知らない

崩壊


どうして。
神様。
お願いですから。

どうか、夢だと言って。
悪い夢だと…。


「はっ、はっ…はぁっ…」


酷い汗をかいて飛び起きた。
私はいったい、どうしてしまったんだっけ。
なにが、あったんだっけ。


「リズ、目が覚めたか?」

「コハクくん、私…」

「倒れたんだ、リズ。覚えてる?」

「え…、あ…、ああ…」


問われて思い出す。
綺麗だとずっと思っていたあの金色。

早く帰ってきてほしいと望んでいたあの金色は、私の望んだ形では返って来てくれなかった。

あれは、現実だったのか。


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