美魔王さまと結婚したなら
新たなる門出

初めての出産、しかも双子の妊娠。

しかし、当初心配されていたようなことも無く、私は無事に臨月を迎えていた。


お腹は二人居ることで、びっくりするほどパンパンに大きくなった。
今ではお腹が変形するほどに元気に動く二人に、幸せでも苦しかったり、重かったりで一苦労だ。

とっくに足元も見えなくなり、今では座るにも

「どっこいしょっと」

こんな掛け声必須である。


「ふふふ、今日も元気ね」

声をかけてお腹を撫でれば、パンチやキックが帰ってくることもしばしば。

つわりの軽かった私も後期で臨月の現在は別のことで苦しい。

二人に圧迫されて胃が押されるため、食事が一度に沢山食べられず、場合によっては蹴られて戻してしまうこともある。

元気な証拠だが、出産目前がこんなに大変だとは思いもしなかった。

今も、私は小さなおにぎり一個で終了である。
ちまちましか食べれない。

出産して落ち着いたら好きな物をガッツリ食べるのを楽しみにひたすら過ごしている。

「夏美、大丈夫か?」

そう聞くのは、明さん。
臨月になる前、八ヶ月半ばから私は産休中だ。
双子なので大事をとって休んでいる。
体も思うように動かしづらくなった時期なので、私も素直に休みに入った。

その頃から、昼間は仕事の休暇に入った父と。
夜は、明さんと二人ゆっくり過ごしてきた。
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