season
深まるキョリ
付き合い始めて一週間。




相変わらず私たちは、いつもの公園でいつものように喋る関係だった。





「でさ、職場の飲み会で、その上司がすげー歌上手くてさー。あれは意外だった!」



「ふふっ。」




相変わらずの、春馬くんとの他愛ない話。




だけど、これまでと違うのは、私たちの関係。




こうしてベンチに座りながら話していても、春馬くんの腕が私の肩に回っていて、ドキドキする。






「…ナツ、そろそろ本題、いいですかね?」




突然の春馬くんの言葉と同時に、肩をぐいっと引き寄せられた。




「な、なに?」




「そろそろ、デートっぽいことしません?」





デート…




デートなんて、したことない。



秋山先生とは、そういうことは全くなかったから。




「…デート、行きたい。」




俯きながら答える私に、春馬くんはフッと笑う。




「ナツはどこ行きたい?」





「え?うーん…春馬くんと二人っきりでいられれば、別にどこでも…」




そう言いかけて、ハッとする。




私、なんて恥ずかしいことを!!




カアッと顔が熱くなりながらも春馬くんを見ると、春馬くんもまた頬を赤く染めていた。




「ナツ…そういうこと言うの反則。………キス、していい?」




コクンと頷き、春馬くんからの2回目のキスを、目を閉じて受け入れる。




そっと目を開けると、優しい笑顔で春馬くんに見つめられていた。





「じゃあさ、ナツ。俺ん家来てくれない?この前ナツにお粥作ってもらったの、何気に感動したんだけど。」



春馬くんの家に行くってことは、つまり……そういうこと、なのかな。




「…ナツ?」



「えっ?あ、行く。私の料理なんて、大したもの作れないけど。」




「やった。」




本当に嬉しそうにする春馬くんに、私も笑顔を見せた。




ドキドキが、深まるばかりだ。


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