バイバイ☆ダーリン 恋心編  番外編完結しました
〔優花の手下 吉永透子の場合〕

ひとりっ子だった透子は、幼いころから手の掛からない“良い子”だった。

勉強も出来て明るく素直な“良い子”が、いつのころからか暗く寂しい雰囲気を纏うようになったのか、透子の両親は覚えがない。

ここ何年も家業の不動産業が好調であったため、両親ともにそれにかかりきりで、家のことはお手伝いさんに任せて、娘のことなど後回し。

何の変化にも気付きもせずに、参考書を買う金が必要だと言われれば、一万円でも二万円でも渡してしまうような、そんな親に何の悩みを話せるだろうか。

今思えば大学受験の時でも、小遣いを要求するだけで、後は成績がどうのだとかA判定が出ただとかくらいの会話だった気がする。

きっと皆が皆、親として失格であると、答えるだろう。

でも、親子3人だけの家族、いつか娘が立ち直れるように、サポートしてやりたい。

勿論、怪我をさせてしまった相手方には、申し訳ないと思っている。

何とか今まで家業の不動産業が成功してきたので、例え家業を休業しても、金には困らないだろう。

娘がしたことの償いはしなければならない。

その上で、娘の更生への道筋をつけるためもあって、親子3人海外で4,5年程暮らしてみようと話し合っている。


────────出演 透子の両親─ 
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