バイバイ☆ダーリン 恋心編  番外編完結しました
初バイト開始から2時間のこと。

店の混み具合も落ち着いて来た頃に、何処かで見たことのある目立つ二人連れが、花音を心配そうにチラ見している。

《もう本当に分かりやすいんだから…》

ふふふと笑んで、いらっしゃいませ、ご注文はお決まりですかなどと言ってみた。

『花音ちゃん似合う!可愛いユニフォームね』

褒めてくれる桜子とは対照的な表情の悠輝は、ブスッとして花音の上から下まで眺めている。

『お兄ちゃんてば、何なのよ。桜子ちゃんは褒めてくれたのに』

『お前、制服のこと言わなかっただろ。こんな服ならやめさせておけば良かった…』

モゴモゴ言葉に詰まる悠輝に、もう一度、ご注文はお決まりですか?と尋ねると、我、コーヒーを所望すと時代劇の台詞かと思う悠輝の言い方に、その辺りのテーブルに座る客がクスクス笑い出した。

ハイハイ承知致しましたと、花音も笑ってキッチンの方へ歩いて行く。

少し経って二人の方を見てみると、桜子が悠輝を慰めているようだが、あれは絶対に、将来尻に敷かれるわねなどと思う。

仲良しな二人連れに、コーヒーお二つとパンケーキおひとつですね。ごゆっくりどうぞと、ニッコリ営業スマイルを向けて定位置に戻った。

その後、女性客に引っぱりダコであった昴が、遅ればせながらと先輩二人に挨拶して、何事かを悠輝に耳打ちされて、お任せくださいと胸を張る。

そんなこんなで、初バイト一日目は幕を閉じたのだった。


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