お見合いだけど、恋することからはじめよう


目黒先輩が戻ってきた。

「七海、ごめん。急に会社のアシスタントの子から明日会うクライアントのことで……」

……もっと、上手い「言い訳」はないの?

あんたは「会社のアシスタントの子」を、LINEに「エミ」とだけ登録するのか?
しかも、明日は土曜日だよ?

あたしはバローネ・リカーゾリのボトルを引っつかんで、どぼどぼとチューリップグラスに注ぐ。

そして、グラスを持ち上げ、くーーーっと、一気に呑み干した。

「な、七海……?」

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