お見合いだけど、恋することからはじめよう


「……ともちん、あたしのLINEを、赤木さん(ヤツ)に売ったな?」

メトロの表参道駅へ向かう道すがら、あたしは友佳(ともか)へトークで確認することなく、直でLINE通話した。友佳は残業中のはずだが、そんなことはお構いなしだ。

『ええっ、赤木さん、もうななみんにLINE送ったの!?』

通話を受けた友佳は素っ頓狂な声を上げた。
法務部を出て、スマホができるところへ移動しているのだろう。パタパタと小走りで急ぐ音がする。

『ごめん……ななみん。赤木さんが突然、うちの部にやってきてさ。もうびっくりしたわよー。
「七海に謝りたいから、どうしても教えてほしい」って言うのよ。最初はちゃんと拒否ったんだよ?だけど、すっごい粘られて……とうとう教えちゃった』

スマホの向こうの友佳は、本当に申し訳なさそうな声だった。


……まさか、イケメンに拝み倒されたから日和(ひよ)ったんじゃないよね!?

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