「きみは、まったく……」

 しかもなにかを堪えるように眉を寄せる。オリヴィアはやり過ぎたかと不安になり、慌てて言葉を足した。

「とっても甘くて美味しかったですよ! あなたの指も甘くなったから、つい……、お嫌でしたか?」
「嫌ではないが、きみには(よこしま)な意図がないから困るな。……ああ、いや、喜んでくれて本望だよ」

 フレッドが天を仰ぐ。怪訝に思いつつ、オリヴィアは続けた。

「お義母様にも、もちろん皆様にもまたお会いしたいわ。お礼もしたいし」
「……うん、今度はここにも招待しよう」
「ええ、来てくださったら、おば様たちもきっと喜ぶわ!」
「そうだね。でもまずは、きみを招待しようかな」

 フレッドの声音が、急に低く艶めいた。どういう意味か訊こうとしたときにはすでに、オリヴィアの身体はフレッドの胸に傾いでいた。

 ゆったりとした室内用のドレスは、昔なら着なかっただろう明るいクリーム色の、さらさらと流れるドレープが美しいものだ。軽くて肌触りも良く、橙色のシフォンでできた薔薇のような花飾りが胸もとを華やかにしてくれている。

 でも残念ながら、その花飾りはフレッドのシャツに押し潰されてしまった。心臓が急に早鐘を打ち始める。どこよりも安心する場所なのに、抱きしめられると未だに条件反射で鼓動が速くなるのだ。

「あ、の、フレッド」

 腕のなかで身じろぎするも、フレッドはびくともしなかった。
 長い指先が、耳朶に伸ばされる。