無感情なイケメン社員を熱血系に変える方法
「羽生、久しぶりだな、頑張れよ」

松山は、彩月や駿太郎と同期だが、リハビリ専門学校を卒業後に、一年間の病院勤務をしてから入社している。年齢は同じだと聞いている。

「伊藤さんは優れた販売員というだけでなく、素晴らしいスポーツインストラクターだ。色々学べると思うよ」

松山は、駿太郎の隣で笑顔を絶やさない彩月を見ながら、ほんのりと頬を赤くして言った。

駿太郎は、すぐに松山が彩月に気があることがわかったが、彩月はいつもと同じ態度で

「そんなことはないよ。松山くんだってお客様からの信頼が厚くて、故障とかパフォーマンスが上がらないときの相談に親身になってくれるって評判なんだよ」

と言った。

"はい、はい"

いちゃついているようにも見えるのが少し気に入らない。

駿太郎は、筋肉のない自分と対称的な松山が苦手だった。胸筋と上腕二頭筋は特に発達しており、とても頼りがいがあるように見える。

松山は、常に自信があるように見えるのだ。

そんな駿太郎を見透かしたように、モール全体の開店の合図がホールに響き渡った。
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