4月の第一週が終り、彩月の丁寧な接客と駿太郎への指導のお陰で、駿太郎はスポーツ用品や指導に関する知識をかなり増やすことができた。

彩月は、現役部活動生や実業団プレーヤーに対する支援だけでなく、成人の生涯スポーツ支援に力をいれていた。

大人になって知ったスポーツの側面は、駿太郎が思っていたほど不快ではなくむしろ好意的にとれる部分が大きくて意外だった。

学校時代は、スポーツだけでなく勉強においても他人との競争を意識させられる。全てに順位が付き、大衆の面前で能力を晒される。

そのことによってもたらされる苦痛と、親・兄妹からもたらされるコンプレックスが、駿太郎をスポーツから遠ざけていたのだ。

負けず嫌いなゆえに、簡単に順位を決められたくない駿太郎は自ら競争の場から退いていた。

その気持ちが日頃の仕事ぶりにも現れていたのだ。

"自分は何かを勘違いしていたのかもしれない"

駿太郎は彩月の丁寧で思いやりのある接客、指導に触れ考えを改める姿勢を見せ始めていた。