「綺麗でしょ?私、この人の建築物が好きなんだ」

室内には幾何学模様をしたパネルを何枚も重ねた独特のオブジェがあちこちに展示されていた。

天井から吊るされた照明も独特の存在感を示している。

作者は日本在住のイギリス人。このところメキメキと頭角を現してきた新鋭建築家だ。

「私は絵や建築が好きだけど、それを職業にできる能力はないから、こうして見てまわるだけしか出来ないけど。仕事に慣れてきたから、そろそろ絵画とか習ってみようかと思ってるの」

学生時代は親の援助を受けているから、本人の能力だけでなく親の経済力によっても人生の方向性が決まってくる。

"だけど"

と彩月は続けた。

「自由になるお金を手にする、大人になった今こそ、無限の可能性が広がると思わない?」

キラキラとした笑顔で建築物を見上げる彩月の顔は輝いていた。

駿太郎がインテリアデザインを専攻していることも、それに伴う仕事をしてきてあまり評価されていないことも彩月は知っている。

「,,,なんでここに?」

駿太郎にもっと頑張れと激を飛ばすためにここに連れてきたのだろうか?

真意を測りかねた駿太郎の質問に彩月が言った。

「好きなものを共有したかっただけだよ」