無感情なイケメン社員を熱血系に変える方法

「翔一朗から伊藤さんの仕事ぶりを聞いて、純粋に駿太郎にも何かを学んでほしいと思った。同期でしかも女性なら駿太郎も抵抗がないのではと思ったんだ」

父・庄之助は駿太郎と彩月を見つめて言った。

「まさか、彩月ちゃんを駿太郎に取られるとは思ってもみなかったけどな。親父にいい子がいるって自慢するんじゃなかった」

翔一朗は、ニヤリと笑いながら言った。

「でも、サンフランシスコに行けば、駿太郎とは離ればなれになるから俺にもチャンスはあるかな」

「彩月は行かないって行ってるだろ！」

いつもの無表情な駿太郎が叫ぶ。

「彩月さんは、本当のところどう思ってるの？」

傍観を決めていた真由香が口を開いた。

「,,,そんなにサンフランシスコ支社の業績は悪いんですか？」

彩月も重い口を開いた。

「ええ、あっちのスタッフが新商品の予約金を横領して、お客様に商品が届かない事態が起こったの。今は対応に追われているけれど、今までいたスタッフを配置したままでは益々評判を落としかねない事態よ」

駿太郎の母・由子も話に入ってきた。

「彩月さんの力を貸してほしいの」

駿太郎を除く羽生家の面々は祈るような顔をしていた、