無感情なイケメン社員を熱血系に変える方法
3人がむかったのは、彩月の祖父母が住んでいた海沿いの二階建ての一軒家だ。

祖母が老健施設に入ってから、ここには祖父が一人で住んでいた。

彩月がサンフランシスコに赴任になったと聞き、祖父は祖母と同じ老健施設に入りたい、そこで一軒家の管理がてら彩月に住んでほしいと言ってきたのだ。

『ナオト(尚登)、連れてきたよ』

賢は、白い壁に青い屋根のかわいい一軒家のインターホンを押すと、英語で中にいる人物に声をかけた。

「彩月、元気だったかい?」

白髪のダンディな背の高い男性が家から出てくる。

「おじいちゃん!」

彩月は満面の微笑みで祖父:尚登に抱きついた。

「君が駿太郎くんだね。話は彩月と君の父上から聞いている」

「父をご存知でしたか,,,」

「私はこちらで輸入業をやっていたからね。君の父親がこちらに進出してきたときからの付き合いだ」

「そうだったの?世間は狭いね」

彩月は素直にこの話を受け入れているが、駿太郎の父と彩月の祖父が知り合いとなると、やはり、駿太郎のウィングライフスポーツへの再配置、今回のサンフランシスコ異動の件、すべてが計画的だったとしか思えない。

駿太郎は苦笑した。

「彩月にここに住んでほしいと言ったとはいえ、一人暮らしさせるには心配だった。恋人の君が一緒に住んでくれれば安心だよ。さあ、部屋に案内しよう」

今日から尚登は彩月の祖母mary(メアリー)のいる施設に入るらしい。メアリーの認知症は少しずつだが進行している。完全に尚登を忘れる前に一緒に過ごしたいと言った。
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