ラヒの預言書
プロローグ

大神殿の奥の奥。


誰も立ち入る事のない場所。


千の香が焚き染められた薄暗い部屋に、妖しげな蝋燭の炎が揺らぐ。


筋の通った鼻に、切れ長の瞳の女が、水晶の玉を手の甲で遊ばせながら呟く。


「クックックッ……そうかぇ、そうかぇ.......此れはなんと奇態な事よ、この陋劣の世に光が射すとゆうのかぇ?惜しい事よ……この眼で見定めたかったに..........ん?此れは此れは、初めて御目もじ致しまする、私はキリコと申します。これからご覧致しまする物語は我が死した後の話、国を転変した対の話。全ては必然、私の神託通りに…ほんの束の間お付き合い下さいませ。貴方様の胤裔にも、何か繋がるやも知れませぬ.......」


妖花漂う女は、そう言って一つきりの蝋燭の灯火を吹き消した……。

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