なぜか私、クラスのイケメンツートップに告られました!

帰りのSHRを終えて帰り支度をする。
教室を出ようって時に今日は谷村くんから声をかけられる。

「咲ちゃん、今日こそ一緒に帰ろうよ」

語尾に音符でも飛んでそうな軽い調子で、よってきた谷村くんに私はニッコリ笑顔でお断りしてあげる。

「今日はってか、これからも無理だね。私、彼氏いるもの。今日は迎えに来てくれるの。じゃあね!」

言うべきことは言った!と私はさっさと教室を後にする。
だって、校門の前に立つ兄、悟の姿が見えたから。
私は走って向かう。

そうして、周りにもしっかり彼氏がいることを噂にしてもらう為に思いっきり行くことにした。

「悟くん!お待たせ!」

ぴょんと私はお兄ちゃんの腕にしがみつく。
すると、お兄ちゃんもニコッと笑って返事をくれる。

「おつかれ、咲。どっか寄ってくか?」
「今日はちょっと暑かったし、アイス食べたい!」

そんな私に、お兄ちゃんは髪を撫でつつ言った。

「よし、じゃあ寄って帰るか。ほら、車はあっちだから行くぞ」
「うん!」

手を繋ぎつつ歩き出せば、周りからどよめきが上がる。

よしよし、うまい事できたかな。
周りの反応に上機嫌で歩き出した私の隣で、お兄ちゃんは後ろを振り返った。

「悟くん、なにかあった?」
「いや、大丈夫。行こうか」

この時、それは鋭い視線を兄に投げてた二人に私は気づかなかった。
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