俺様外科医の極甘プロポーズ
1.先生はエリート

 あの頃の私にこの世で一番嫌いなものは?そう尋ねたら、おそらくこう答えるだろう。

「柏瀬壱也」

 憎たらしいほどいい男で、恐ろしく頭の切れる外科医だ。私はこの男にすべてを奪われてしまった。


 私、花村りさは看護大学を卒業してからというもの、人生のすべてを仕事にかけてきた。

毎日三、四時間のサービス残業はあたりまえ、休日は研修や勉強会に参加し、恋や遊びには目もくれずがむしゃらに働いた。おそらく気づかないうちに、自分の限界を超えてしまったのだろう。

 ある日突然それはやってきた。

ふと鏡を見ると、頭に十円ハゲができていた。途端に急に世界が色あせて見えて、仕事がまったく楽しいと思えなくなってしまった。

看護師になって五年目の春のことだった。

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