最弱救世主とドS騎士
死と隣り合わせの選択③

「ケガしなかった?」
私がそう聞くと右のリアムは「リナこそ大丈夫か?」って自分より私の心配をして、ジッと目を見る。
吸い込まれそうなくらい綺麗な瞳と端整な顔立ち。
背中でひとつにまとめた長い髪をそっと触る私。

「リナを強く抱きしめたい」

「私も同じ気持ちだよ」

髪を触るぐらいでストップしないと、アレックスに怒られちゃう。

「まさかこんな事になるとは」

「アレックスもジャックもシルフィンも、どっちが本物のリアムかわからない」

「俺も自分でわからなくなりそうだ」

ふっと笑った顔が懐かしい。
この表情が私は大好きだったから、泣きたくなるよ。

「リナはわかるのか?」

「正直わからない」

「正直すぎるぞ」

「ごめん」

焦らなきゃいけないのに
右のリアムと話をしていると
ゆっくり時間が流れている気がする。
黄金色の穂を手を伸ばし、そのくすぐったい柔らかさを感じているような穏やかな幸せを感じてしまう。

「リナ」

「はい」

「迷うな」

右のリアムは強く私にそう言った。
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