処刑バッヂ
異質
あたしたちは無言のまま歩き続けていた。


どこを目的に歩いているのか、あたしも涼希もわからないままだ。


「食堂だ……」


涼希が立ち止まったのは食堂の前だった。


お弁当持参のあたしはあまり活用したことのない場所。


涼希は部活をやって来た時には放課後になってからよくここで軽食を取っていたようだ。


「ここも、きっと鍵はかからないよ?」


後ろからそう言うと、涼希は「そうじゃない」と、左右に首を振った。


「家庭科室でどうして気が付かなかったんだ」


涼希は少しだけ明るい声でそう言った。


「なに?」


あたしは涼希の言葉に首を傾げるばかりだ。


「家庭科室にも食堂にもあるもの」


「え?」


「包丁だよ」
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