処刑バッヂ
そう言われてあたしは言葉を失った。


「武器を持つってこと……?」


恐る恐るそう訊ねると、涼希は頷いた。


「別に使うワケじゃない。持っていた方が今は安全だろ?」


「そうかもしれないけど……」


友達に包丁を突き付けるところなんて、想像ができない。


躊躇しているあたしの手を引き、涼希は食堂へと足を踏み入れた。


調理室は食堂の最奥にありそこにいれば外までアラーム音が聞こえ漏れる心配もなさそうだった。


調理室の中はステンレス製の大きなテーブルがあり、その下には沢山の収納がある。


「火がつくのかな」


あたしはそう呟いてコンロの前に立った。


業務用のコンロは横に4つ並んでいて、その1つには大きな鍋が置かれたままになっている。


しかし、スイッチを押してみても火はつかなかった。


ここにいれば暖がとれると思ったので残念だ。
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