処刑バッヂ
暗示
あたしは麻央が逃げって行ったドアを呆然として見つめていた。


目は真っ黒で、あたしと涼希の存在をちゃんと認識していたようには見えなかった。


「涼希、大丈夫?」


我に返って涼希に駆け寄ると、涼希は腕をさすっていた。


麻央につかみかかられた部分だ。


服をまくって確認してみると、そこにはクッキリと手形がついている。


「すごい力だ……」


涼希はそう呟いて腕をさする。


「なんで……」


こんなの普通じゃない。


麻央にこんな強い力があるとも思えなかった。


愕然としている中、再びあたしたちのスマホが鳴りはじめた。
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