ヴァーチャル・リアリティ
ラストの部屋
画像が切り替わり、あたしたちは最後の部屋にいた。


『それでは最後の部屋です』


アナウンスの声を聞くだけで吐き気が込み上げて来る。


あたしは気分の悪さをグッと押し込めた。


「梨花子は本当に死んだのか?」


もうすでに姿が見えなくなった晴道がそう呟いた。


「わからない」


陽大が答える。


「もし、本当に死んでたら?」


晴道の言葉に陽大が舌打ちしたのが聞こえて来た。


「知らねぇよそんなの!」


どこか焦っているように感じられる陽大の声。
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