ヴァーチャル・リアリティ
「おはよぉ結愛」


通学路を歩いていた途中、後ろからそう声をかけられてあたしは振り向いた。


そこには笑顔の梨花子とアユが立っている。


「おはよ、2人とも」


いつもと変わらぬ挨拶を交わして3人並んで歩き出す。


この前まで蕾だった桜は徐々に咲き始めている。


「もう少しパーッと咲いてくれればいいのにね!」


梨花子がそう言い、両手を桜へ向けてつきあげた。


春の日差しが心地よくてあたしは目を細める。


「今日が卒業式だなんて信じられないなぁ」


そう言ったのはアユだった。


アユは大人っぽくため息を吐き出して桜を見つめている。
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