ヴァーチャル・リアリティ
カウントダウン
視界は再び暗転し、あの音楽が流れ始めていた。


何度も聞いた音楽。


あたしは陽大と同じ音楽を好きになりたくて、自分のスマホにもダウンロードしていた。


ぼんやりと音楽を聞いていたら、どうしてこの曲なのだろうと疑問が浮かんでくる。


ただの偶然だと言ってしまえはそれまでだけど、少しだけ嫌な予感が胸をよぎった。


そう言えば、誰かが子供部屋も書斎も見たことがあると言っていた気がする。


それって一体どういう意味なんだろう。


『残念ながら、前の部屋で脱落者がでました』


あたしの思考回路を遮るようにアナウンスが流れた。


目の前には3色が渦巻いている。


『脱落者は結城悠太郎さんです』


あぁ。


やっぱり間に合わなかったんだ。


あたしは自分の下唇を噛みしめた。
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