【完】キミスター♡

会えない一秒…

ジメジメとした梅雨の開けぬまま入り込んだ夏休み。
私はごろん、とクーラーのついた部屋で天井を見つめていた。


片手にスマホを握り締めて。


「緋翠から、連絡がない……」


ぽつり、零れた声は半分怒気を含み、半分悲しみを孕んでいた。


別に、これと言って約束をしてたわけじゃない。

それは分かってる。
でも……。


「カレカノなのに、なんでこの仕打ち…」


私はばすんっとベッドにスマホを投げて、ラグマットの上で悶えるようにして転がった。

私から誘うのは簡単なんだよ…?

でも…。
少しくらいは緋翠から…と思ってしまうのは、私が我儘だからかなんだろうか…。

「あーもー…つまんない」

ふと外を見ればしとしとと雨は降り続き。
私の心をどこまでも沈めていった。

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