【完】キミスター♡

夏休み明けの波乱の予感

夏休みは、長いようで短かった。
部活は何気に結構な回数あったし、イベント事には、緋翠とそれを口実にデートをしたし…。

でも、プールに誘った時の緋翠はやばかった。
引退してからも自主的にトレーニングしていたのか、スタイルになんの変化もなく…いや、現役の頃よりもバキバキになっていたかもしれない。
そんな私に対して、チュニック付きのビキ二姿を晒した私を、瞬殺で自分のパーカーに包んだ緋翠がどうしようもなく可愛くて、私は「緋翠に喜んで欲しくて着て来た意味ないじゃーん!」と大笑いしてしまった。

でも、その後に。


「こんな露出度高いの着られても、目のやり場に困ると言うか、なんか…変な気持ちになるというか…」


と、もごもご言う緋翠に、


「緋翠にだったら、いいのになぁ」


と私もすかさず返すと、真っ赤な顔で睨まれた。


そんなこんなで、終わりを告げた夏休み。
緋翠には高校最後の夏休みだったけれど…少しは私との思い出…胸に残してくれたかな?

ほんの少しでもいい。
楽しかったと思える時間を共有することが出来たかな…?


そんなことを思いながら、始業式の始まる体育館へと茉莉江と談笑しながら歩いていると、向こう側から一番会いたくない男…真人が此方を見ていた。

「ねぇ?あの人誰?さっきから尋常じゃない目付きで海夏のこと見てるけど…」

茉莉江が、心配そうにひそひそと耳打ちしてくる。
私はそれに対して、眉をひそめながら、

「過去の幼馴染。いい思い出なんて1mmもないくらい最低な奴」

とだけ説明して、そのまま真人の近くから遠ざかるようにして、そこを去った。


いつまでも過去の記憶に囚われてちゃいけない。
そうは思うけど。
幼い頃に傷付けられた心はどうしても元には戻らない。

元々真人に対して、なんの感情もなかった私は、何の理由もなく散々虐められ続けた日々を忘れようとしても忘れられない。

だから、もう二度と出会いたくなんてなかったのに…。

運命の神様は、どうしてこんなにも意地悪なんだろうか。

私そんなに日頃の行い悪いですか…?

そう思いながら、私は蒸し暑い体育館への道を急いだ。

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