7・2 の憂鬱
自分の誕生日のことを話して以来、なぜだか戸倉さんと接する機会が増えているような気がしていた。
仕事絡みで一緒になることはあったけれど、やっぱり一番の原因は、戸倉さんが最近出社時刻を早めているせいだろう。
毎朝ではないものの、就業前、人気のないオフィスで二人きりになることがやたらと多くなった。
戸倉さんは海外とのやり取りだとか急ぎのメールチェックだとか、忙しそうにしていて、わたしは、一人だけ英会話の勉強するなんて申し訳なくて、簡単な掃除のあとは、できる範囲で戸倉さんの手伝いをしていた。
そうしてると、自然と、去年みたいに戸倉さんと会話する時間も増えていったのだけど、去年とは、その距離感に違いがあった。
おそらく、わたしが女子グループに馴染めないことや、誕生日のことを打ち明けたせいだと思う。
そのせいで、気持ち的に距離が縮まっていたとしてもおかしくはないから。
戸倉さんはより親しげに、わたしの方も、事情を知られたことで戸倉さんに対する態度が変わっていたのかもしれない。
そしてそんな変化は、周囲にも察知されてしまったのだ。
―――――――――あの二人、つきあってるの?
そんな噂話がわたしの耳にも入ってくるようになったのは、6月も下旬になった頃だった。