極上な王子は新妻を一途な愛で独占する
2
ノーラの所に行かない日は、本当に退屈だ。

朝起きて食事をすると、早くもやる事がなくなってしまう。

普通の王弟妃ならば公務に出たり、館内の取り仕切りをしたり仕事は山ほどあるのだろうけど、シェールに限って言えば違う。本当に何もやる事がない。

さらに言えば夫であるアルフレートも働いていない。
母親の身分が低く、王位継承権も直系王族では一番下の王弟に立派な地位は与えられないらしく、持っているものはこの小さなサンレームの領地だけ。
それも部下たちがしっかり管理している為、王弟の出番はないらしい。

世の中の役に立っていない王弟に侯爵令嬢。
考えてみるとお似合いの二人かもしれない。


「あーこんな生活うんざりだわ。早く解放されて一人前の薬師になりたい」

ベッドにゴロンと寝転がりながら、声に出す。


シェールには専任の侍女が居ないから、基本的に部屋にひとりだ。

朝夕の着替えと食事の配膳の時に、家令の部下の侍女が来るけれど無駄口は叩ず、用が終わるとさっさと部屋から出て行ってしまう。
アルフレートの不在を告げる為、家令が十日に一度くらい来るけれど、それもほんの一瞬だ。


おかけでダラダラしていても、独り言を連発しても誰にも文句は言われない。

「気楽でいいけど、暇に変わりはないのよね」

何となく声を出し、ため息を吐く。

今日もこうやって時間を潰し、何事も無く終わるのだろう。

そう思っていたのだけれど、思いがけなくシェールの部屋にノックの音が響いた。
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