七周年記念小説
告白は卒業式の後で……
俺は好きな人がいる。

相手は十四歳も年上の教師。

彼は今年、三二歳になる。

社会人と高校生。

大人と子供。

そして、俺は
後半月で卒業する。

だから、告白はしないつもりだったのに
まさか、卒業式当日に
先生から告白されるなんて
この時はまだ、知らなかった。

*✲゚*。 ♪*✲゚*。 ♪*✲゚**✲゚*。 ♪*✲゚*。

今日は卒業式。

先生にも会えなくなるな。

それが何だか淋しい。

はぁ……

「卒業式だっていうのに
何、ため息ついてるの?」

母さんに指摘されて
無意識の内にため息を
ついてたことを知った(苦笑)

『何だか皆に会えなくなるなんて
淋しいなって思ってさ』

先生に会えなくなるのが淋しいんだけど
そんなことはいえないから誤魔化した。

「まぁ、その気持ちはわかるわ。

母さんも高校の卒業式では泣いたわね」

よかった……

どうにか誤魔化せたみたいだ。

「でも、卒業は
別れだけじゃないでしょう?」

先生に会えなくなる
っていう一点を除けば
本心はさして淋しくない。

この門をくぐるのも
今日で最後なんだな……

色んな思い出がある学校を
卒業することは寂しい(苦笑)


卒業は恙無(つつがな)く終わった。

教室に戻る時、
先生が近づいて来て耳元で囁いた。

“裏門で待ってて”

皆が友人や家族と
記念撮影している合間を通って
裏門に向かった。

『まずは、卒業おめでとう』

個人的に言ってもらえて嬉しい。

『ありがとうございます』

『いきなり、こんなこと言われても
困るかも知れないが言わせてほしい。

智香が好きだ‼

俺と付き合ってくれないか?』

嘘⁉ 告白されてる⁉

僕の片想いじゃなかったの⁉

嬉しいのと吃驚したので困惑気味だ……

『やっぱり、困るよな……』

僕の沈黙をノーと取ったらしい
先生は踵を返そうとしている。

『待ってください‼

僕も葉結希さんが好きです』

初めて、先生を名前で呼んだ。

両思いだったのには吃驚だけど嬉しい。

『よかった……

フラれるの覚悟だったんだよ』

僕は叶わないならそのまま、
卒業してしまおうと思っていた。

『もう一度言う、智香が好きだ』

“年の差は十四歳”

だけど、僕達は恋に落ちた。

『僕も葉結希さんが好きです』

この先、色んな困難が
待ち受けているだろうけど
二人でなら、きっと乗り越えられる。
< 2 / 3 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop