ヴァンパイア・シュヴァルツの初恋
最終章◆初恋の結末
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それから二年後──
休日だがお昼は加賀先輩に誘われて、ゼミのメンバー数人と食事に出掛けた。
私も先輩もめでたいことに就職が決まり、卒業研究の提出も終えたのだ。
お昼を終えたら直帰の予定だったけれど、時間の空いた私は、とある人物と駅前のカフェで待ち合わせをする。
「朱莉ちゃん!ごめんね、待ってた?」
「大丈夫だよ。エミちゃんこそ忙しかった?休日に呼び出しちゃってごめんね」
春色の小さいポシェットを揺らしながら、その人はカフェやってきた。
その人、“水無月さん”は落ち着かないままに向かいの席に座る。
「ううん、色々話したかったし」
ふたりで小ぶりのメニュー表を覗き見た。どちらもカフェオレを注文する。
「朱莉ちゃん、引っ越しの準備は順調?」
「そうだね、もともとそんなに物がなかったから荷造り楽だったし。久しぶりに会った叔母さんたちも手伝いに来てくれたから」
「叔母さん?近くにいたんだ」
「うん。高校まではお世話になってて、進学してから全然会ってなかったんだけど、連絡とったら意外と普通に話せてさ」
「へえ!」
「そこの従兄弟たちも、昔は私のこと虐めてたのに、久しぶりに会ったら全然変わってた。あの頃はごめんな、なんて言って」
「人って変わるんだねぇ。……でもさ、一番変わったのは、朱莉ちゃんじゃない?」
「え?」