翼の折れた鳥たちは
「初めまして、星原さん。私、榎田敦也の専門学校で担任をしておりました重光と申します」

丁寧に名刺まで渡される。

専門学校の先生ってことは、理学療法士の大先輩だ。

私は名刺を受け取ると、目の前の大先輩に早々に恐縮して、小さくなった。

「星原さん、そんなに構えなくてもいいから。重光は俺の同期なんだ。なあ、シゲ?」

そう言って部長と、敦也くんの担任の重光先生は2人で顔を見合わせて可笑しそうに笑う。

部長も、こんな顔するんだ。

部長が一瞬見せた少年のような笑顔に戸惑いつつも、私は2人に促されるようにして応接セットのソファーに腰を下ろした。


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