翼の折れた鳥たちは
12

「もう1か月だな」

業務が終わり片づけをしながら、リハビリ室から見える山々が少しずつ彩り始めているのを、ぼんやりと眺めていたら声をかけられた。


「部長っ!!おっ、お疲れ様です」

「なにもそんなに驚かなくても……」


苦笑いしながらリハビリ室に入ってきた部長が、マットに腰を下ろして足を組んだ。

もう1か月……。


敦也くんが退院してから1か月だってことを部長が言っていることはなんとなく気が付いた。

「敦也くん、三嶋くんの車いすバスケチームに正式に入ったんだって。昨日、三嶋くんから連絡があったよ。彼、なかなか筋がいいって褒めてた」


私の反応を見ながら、部長が教えてくれた。

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