翼の折れた鳥たちは
「でも、星原さんはいいなぁ」

「えっ?」

ふいに遠い目をしながら榎田さんが口を開く。

「星原さんが後悔しているかしてないかなんて俺には分からない。だけど、星原さんはちゃんと理学療法士になってる。いいなぁ」


榎田さんが零したその本音に私は何も答えることが出来なかった。


私は歌手の夢を諦めて、理学療法士を選んだ。

だけど目の前の榎田さんは、今、理学療法士の夢を諦めるしかないでいる。

そんな彼の前で、理学療法士になって後悔していない、むしろ理学療法士になってよかったと断言できない私は、このままでいいのかな。


そんな想いが胸に重くのしかかった。
< 82 / 290 >

この作品をシェア

pagetop