アスカラール
天然悪女の育て方
腰近くまであるストレートの黒髪は、特に取得のない自分が唯一自慢できるものである。

(短くしたら短くしたらで、ハネたりだとか何とかで手入れが大変だからって言うのもあるんだけど)

そう思いながら、美都は長い髪を左の方に寄せると水色のバナナクリップで留めた。

「よし、やろう」

美都は自分に気合いを入れると、仕事に取りかかった。

椅子に座ってパソコンに向かいあっているとは言え、退屈である。

(昨日は夜遅くまで起きて、マンガを読んでたからなあ)

嫌でもやってきた眠気に、思わずあくびをしてしまった時だった。

「おやおや、ずいぶんと大きなあくびですね」

聞き覚えのある声がしたので、美都はそちらの方に視線を向けた。
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