身代わり女神は、過保護な将軍様に愛されるのに忙しい



***


 目覚めてまず、目に飛び込んだのは幾重にも重なる豪奢な紗幕。

 ……な、に?
 首を左右に巡らせれば、豪奢な紗幕は私が横たわる寝台を覆うように天井から垂れ下がっている事に気付く。
 指先に触れるのは、ブロードさんが整えてくれた居室の滑らかなシーツより、一層滑らかな絹のシーツ。あまりにも滑らかな触り心地は分不相応としか思えず、逆に居心地の悪さを呼び起こす。

 どうやら私は、天蓋付きの大きな寝台に寝かされてるらしい。

 ……私、どうしたんだっけ?

 寝起きとは思えないほどに、ズキズキと頭の芯が鈍く痛んだ。
 一度横寝に転がって、突いた腕を支えになんとか半身を起こす。

「う”っっ!」

 突き抜ける重い痛みに、呻き声が漏れた。
 けれど痛みと共に、意識を失う直前の記憶が脳内に蘇る。妙なえぐみのオレンジ果汁が喉を落ちる感触を思い出せば、喉の奥に苦い物が込み上げた。

「レーナ様? 気が付かれましたか?」
 
 天蓋越しに呼び掛けられて、ギクリと体が強張った。優し気な口調だが、初めて聞く声だった。

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