身代わり女神は、過保護な将軍様に愛されるのに忙しい





「ごちそうさまでした」

 手にしていたスプーンを置き、食事の終わりを伝えた。

「星の女神様、もう終いでございますか? スープだけでも、もう少し召し上がりませんか?」

 食事の席につくのはこれがはじめて。

「いえ、もう十分にいただきました」

 その食卓には、とても一人では食べきれない溢れるほどの料理が並べられていた。そのどれもこれもが贅の限りを尽くした料理ばかり。
「では、下げさせていただきますね。其方ら、片してよいぞ」

 侍女長の声掛けで、侍女達が食卓を埋め尽くす皿を運び出す。けれど皿の数はとても多く、侍女達は何度も食卓と配膳ワゴンを行ったり来たりと忙しい。

「……あの、王宮の皆さんは毎食こんな豪華な食事をしているんですか?」

 侍女長というのは、天蓋の紗幕越しに声を掛けてきた、あの女性だった。


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