"鬼"上司と仮想現実の恋
現実を仮想現実に
あ、綺麗…

通勤中、歩道脇のコンクリートの隙間から、黄色い花が咲いていた。

私はスマホを取り出し、写真を撮る。

そして、そのまま駅に向かう。

満員電車が嫌いな私は、いつも1時間早い電車に乗る。

ゆったりとした車内で、さっきの写真をダイアリーにアップする。


私は3年前から、とあるゲームにはまっている。
アバターを着飾り、部屋を装飾するこのゲームは、子供の頃の着せ替え人形とドールハウスに似ている。

違うのは、この部屋にはダイアリーという日記帳が存在すること。

友達に誘われて始めたこのゲーム。

人形遊びに興味なく育った私には何が楽しいのかイマイチ分からなかったが、ダイアリーだけは気に入っている。

私のアカウント名は『よあけのちょこ』

現実の名前が『瀬名 暁里(せな あかり)』という私は、《夜明けの里》という名の由来を持つ。

両親は、私の人生がいつでも始まりである事を願って、何度でもやり直せる事を伝えるために、この名を付けた。

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