借金取りに捕らわれて 2
「誰か待ってるの?」


男の子の方へ少し体を向け小首を傾げて聞くと、男の子はまた小さく頷いた。


「けーちゃん待ってるの。」



けーちゃん?

待ってるのママじゃないのか。

いや、ママをけーちゃんと呼んでいる可能性も?



「けーちゃんはいつ来るの?」

「あと、もうちょっと。」


もうちょっととは、結構あやふやな…


「そうだ、お腹空いてない?良かったら食べない?」


サンドイッチの乗ったお皿を差し出すが、男の子は首を振る。


「ご飯はママと一緒に食べるから…」


どうやらけーちゃんとママは同一人物ではなかったらしい。


「そっか。」


だが、お皿を引っ込めると、隣からグーとお腹の鳴る音が響いた。

男の子は頬を染め、お腹に手を当て気まずそうに俯く。



私はなんて悪いことをしてしまったんだ…

ママとご飯を食べるためにお腹がすいても我慢してる子の前に、誘惑するように食べ物を持って来てしまった…


凄く申し訳ない気持ちでいっぱいになった。

そんな罪悪感から、トレイに視線を落とすとあるものに目が止まった。


「じゃあ、これならご飯じゃないしどうかな?」


私は人参プリンを差し出した。


「これ、人参プリン?」


小さい体を乗り出し、男の子のキラキラした瞳が私の持つカップに注がれる。


「知ってるの?」

「知ってる!前に玄さんがくれた!」


玄さんの知り合いの子か。
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