借金取りに捕らわれて 2
男の子は明らかに食べたそうに喉を鳴らす。


「良かったら食べて。」


にこりと微笑んですすめるが、それでも男の子は両膝の上で拳を握りカップを取るのを躊躇っていた。


「でも、本当に良いの?お姉ちゃんも玄さんからもらったんでしょ?それに人参プリンは特別な日にしか食べられないんだよ?」


男の子はおずおずと上目使いで聞いてくる。


その仕草が堪らなく可愛いくて、胸がきゅんとなる。


それに、なんて優しい子なんだろう。
ギュッて抱き締めたくなるなー
もしここにたくさんの人参プリンがあったら、いくらでも上げちゃってるよ。



「うん、玄さんからもらったんだけどね、お姉ちゃん食べきれないから…
残しちゃったら玄さん悲しむでしょ?だから変わりに食べてくれたら嬉しいな。
それにお姉ちゃん、明後日また食べれるから!」



と、ここまで言っておいて、配慮にかけていたと思った。



「でも、知らない人からもらったら、ママ怒るかな?」



私も小さい頃散々言われたではないか…

特に、誠ちゃんからは耳にたこが出来るほど。



私の格好からして、ジュリエットの厨房で働いてるとは分かるだろうけど、知らない人は知らない人だ。



「人参プリンなら大丈夫!」



けど、そんな配慮はいらなかったようで、男の子は元気良くそう答えた。



人参プリン限定?

まあ、大丈夫ならいいんだけど…

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