本部長にあおられ、瀬川に嫉妬心を燃やして告白してから早三日。
思った以上に、自分の心が軽くなっていることに驚く。
大学時代の彼女と別れてから、もう誰とも付き合うつもりなんてなかったのに、いざモモちゃんに受け入れてもらえればこんなにも心が満たされるなんて。

六年ぶりに彼女ができたとはいえ、仕事にプライベートは持ち込みたくないから、平静を装っているけれど。
感情が表に出やすい彼女は、朝から赤くなったり青くなったり忙しい。
真面目にパソコンに向かっていたかと思ったら、書類で顔を隠しながら笑っていたり。
ころころと変わる表情は見ていて飽きることがなく、ついついそちらに視線を向けてしまう。

「顔、緩んでますけど」

そんな声に、俺は一瞬息をのんだ。田中さんが無表情で目の前に立っている。

「え?」

「はい。資料できましたよ。……結局付き合うんなら、なんで一度振ったりしたんですか」

「……聞いたの?」

「あの子の隠しごとなんてすぐわかります。お昼に一緒に食べたときに、ちょっとつついたらすぐぼろを出しました」

会社では極力仕事の話しかしないようにしているのに、あの場にいた瀬川はともかく、田中さんに気づかれるとは思っていなかった。

「田中さん……ごめんね」

田中さんはせっかくの綺麗な顔の眉間にしわを寄せている。頬を膨らませて、いつもよりは幼く見える表情だ。

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