花瓶─狂気の恋─
再生

目が覚めると真っ白な天井があった。身体前身は白い布団で温かく、外からの日差しもあり全身が優しい温もりで包まれているような感覚。
真帆は病室で寝ていた。服も真っ白な病院服で、病院内の独特な匂いが鼻を刺激する。

隣には椅子にもたれかかって寝ている晶子がいた。真帆はそんな晶子に手を伸ばそうとするが、その時丁度晶子が目を覚ました。

晶子は真帆が目覚めていることに気が付いて、涙をポロポロ流しながら真帆に抱き着いた。

「真帆!大丈夫!?どこか違和感ない!?」


「ちょ....痛いんだけど...晶子....」


晶子は慌てて真帆から離れたが、興奮が冷めないのかワタワタしていた。


「晶子....私、いつからここに?」


「二日前からかな?....私、びっくりしたんだよ!?真帆が誰かに刺されたっていうから心臓がはち切れそうになったよ....麻紀先輩との件もあってさ...すぐの事だったから本当に心配で....」


怪我をしていない晶子は更に大粒の涙を零す。今にでも大声で泣きそうな晶子に真帆は頭を撫でた。


「ごめん....心配かけちゃって...私大丈夫だから。」


「それならいいんだけど....真帆、誰に刺されたとか覚えてないの?警察も話を聞きたいって言ってるけど....」


そう言われて真帆は意識が無くなる直前の事を思い出す。
< 165 / 259 >

この作品をシェア

pagetop