花瓶─狂気の恋─
計画


真帆にとって殺しをすることに躊躇いは感じていなかった。それは悠雅に対する想いが強いのか、元々そういう人間性が欠けていたのかは分からない。

怖いものは無いはずだが、真帆の千紗殺しの計画、これに一つだけ大きな壁がそびえたっていた。


あの糞女を殺すのに罪悪感とかは全然ない...だけど、問題はどう殺すか....


この殺しは完全、或いはそれに近くなければならない。少なくとも警察に見つからないようにしなくてはならない。
この殺しを変に失敗してしまうと、悠雅が真帆を振り返る事は当然無く、真帆にとって最悪な展開になる。それだけではない、そうなると真帆は人間社会から抹消されてしまう。

社会からの抹消はよしとして、真帆にとって悠雅と共に生きていけないのが怖くて仕方がなかった。

ハイリスクな上に得られる物は少ない。これはあくまで邪魔者を排除する計画、悠雅の気持ちを真帆に向ける計画ではないのだ。


だけど...やるしかない。私と先輩が一緒になるにはそれ以外の道がない。



真帆は必死に頭を悩ませていた。部活動の活動場所の視聴覚室へと足を進めながら。
千紗さえいなければこの足は軽かった。だが、今は足枷を付けられているように重い。またあの地獄を見てしまうかもしれないとなると、胸が痛くなり殺意が満ちる。
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