五月下旬。季節はもうすぐ梅雨にさしかかろうとしている。
授業がいつもより早く終わったにも関わらず、生徒たちは浮かない顔で慌ただしく帰ろうとしていた。

もうすぐ私たちの高校では中間テストが行われる。



「やばいんだけどー…マジ勉強しなきゃ」

「赤点はさすがにねー」

「数学やばいってー!先生の話とか聞いてないしー」



この時期はどの生徒たちも焦ったように勉強に励んでいた。教師たちも何だかいつもより忙しそうだ。

日頃勉強に勤しんでいる学生たちは余裕そうにしているが、それ以外の生徒はテスト範囲を慌てて頭に詰め込もうと必死だ。

かくいう私も早く家に帰って勉強しないと。

私の成績は中の上だ。色々理由があって第一志望の高校よりも少し偏差値の低い高校を選んだから、まあこれくらいの成績はとれる。

一応この成績をキープしなければいけないワケで。

……しかし、

私は自分の隣を並んで歩く堀川を横目見て、気付かれない程度に溜息を吐いた。第一志望の高校に行っていれば…私はこんな男と一緒に帰ることもなかったのに。



「………」



住宅街を歩く私達の向かいから中学生らしき男子生徒達が歩いてきた。



「ぎゃははは!!でさあー!!」

「あははははははは!!やべえってそれ!!…あ」



さっきまで騒がしかったはずの中学生達は堀川に気づいた途端口を閉ざして黙りだした。更には尊敬の念をもったような瞳で隣の男を見ている。中学生たちは通り過ぎてもなお、こちらに熱烈な視線を向けていた。

それだけではなく、口を揃えて「でけえ~…」やら「かっこいい」とか堀川を褒め称えるような言葉をこそこそと言い合っている。



「…中学生諸君、こんな見た目だけの男になってはいけないよ…!」

「見た目だけの男って誰のことだ」

「あいてっ」



どうやら口に出ていたようで後頭部を軽く叩かれた。

勿論お前のことだよ!!!


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