もう私が魔女にしか見えていないらしい子ライオンは一切手加減無しの力で服を引っ張ってくる。

服を脱がそうとする子ライオン颯大と必死に抵抗する魔女っ娘明理ちゃん。そんな私達の攻防戦を眺めていた堀川がようやく動いた。



「颯大。お前の好きなドラマの再放送始まったぞ」

「あっ!!そうだった!!」



兄の言葉で颯大は私からぱっと手を離し、急いでテレビの前に駆け寄っていく。



「……はあ、……ハア…」

「お前はそろそろ帰れば」



ああ"?!!言われなくとも帰るっての!!



「そうだそうだ!!さっさと帰れブス!!」

「こ、こんの…チビ…」



怒りでこめかみの辺りがぴくぴくと痙攣する。すると堀川は乾燥が終わった制服を適当な袋に入れて私に差し出してきた。



「ありが、とう。あ、あの、この服はあとで洗って返す…」

「別にいい」

「ダメだ!!根暗が移るからちゃんと洗って返せ!!」

「こ、こんなクソチビ…」



お前の服に根暗菌繁殖させてやろうか!!

テレビを観ながら野次を飛ばしてくる颯大にこっそり呪いをかけておいた。

玄関まで来たところで、不本意だが小さく堀川に頭を下げる。



「じゃ、じゃあ、帰ります…」

「もう二度と来んな!!」



玄関まで響いてくるクソ生意気な颯大の声。

ほんと、そっくりだわ堀川ブラザーズ…。黙って赤い帽子と緑の帽子被って配管工の仕事をしながらピー○姫でも救ってりゃあいいものを。



「何だよ」

「!!…い、いえ。じゃあ…ま、また!!」

「あ、おい」



堀川の視線から逃げるように挨拶を早々に終えた私は玄関のドアを勢いよく閉めた。
外の雨はもうすっかり止んでいて、地面には所々水溜りがあるだけ。



「クッソ…子ライオンめ…本当覚えとけよ…」



予想はしていたが、やはり颯大は私と堀川が付き合うことに反対のようだ。それに学校の一部の女子達も堀川と付き合うことになった私に反感を持っているらしいし。


…周りが敵だらけなのは気のせいだろうか。


ぼんやりと考え事をしていた私は地面の水溜りに気づかず、見事にそこへ足を突っ込んでしまった。
「ひぎゃあッ!」と短い悲鳴を上げ、私はまた重い溜息を吐いた。



「…はあ、……疲れた」




『 どうも悪女です 』
(悪女への道はまだまだ遠い)



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