「しょうがないよ。堀川先輩ってこの学校のアイドルみたいな存在だから」

「アイドル…ぶふふッ」



フリフリの衣装を着て歌って踊る堀川を想像し、笑いが込み上げてくる。



「明理ちゃん、笑ってる場合じゃないから。明理ちゃんが彼女になれるなら私にだって望みがあるって思う人が増えたって話だよ?そんな呑気にしてたら堀川先輩に捨てられちゃうって」

「す、捨て…」



捨てられるァ?!!

段ボールに入れられて道端に捨てられる自分の姿を思い浮かべてしまう。さっきの想像よりも何だかリアルで顔から血の気が抜けていくのが分かった。

私は読んでいた雑誌を放り投げ、なっちゃんの脚に震える手でしがみ付く。雑誌なんか読んでる場合じゃねえ。



「そ、そんなの嫌だっ!!あの堀川に捨てられるなんて屈辱だあっ!!み、みかんの段ボールが家なんて嫌だ!!」

「みかんの段ボールは知らないけど。ね、だから明理ちゃんも自分を磨かないとっ」

「じ、自分を磨く…?」



「タオルで?」とかくだらない事をほざいたら、恐らく氷点下の視線をぶつけられるだろうから止めておこう。
なっちゃんはにこにこと感じの良い笑みを浮かべながら、テーブルに置いてあったポーチを手に取る。



「うん。明理ちゃんってメイクしたことある?」

「…な、ないけど」

「そっかー」



まさか…。



「じゃあ、今からちょっと弄ってもいい?」



や、やっぱり…!!

可愛らしい笑顔を浮かべたなっちゃんはメイク道具を持ちながら、後ずさりする私の前に仁王立ちで君臨していた。

断る隙を与えないなっちゃんはやっぱり強い。


この作品のキーワード
同級生  いじめっ子  ツンデレ  地味