誰からも愛されない
② 過 去

医学生である新は
勉強もある中で
彩心を大切にしていた。

講義がないときは
常に彩心を優先して
彩心のそばにいてくれた。

彩心は、新の邪魔をしたくなかったから
新が勉強している時は
一緒に勉強をして過ごしていた。

新は、
「たまには、デートしようか。」
と、言ってくれるが
彩心は、
「新がそばにいてくれるなら
どこにいても同じだよ。」
と、答えていた。

新の父親は、医者の不養生から
病気で亡くなった。
患者さんに一生懸命な先生で
自分の病気に気づいた時は、
手の施しようがなかったようだ。

もともと、頭の良い新は
迷わず医学部へ進んだ。

高校を卒業すると
私は新のいる大学の経済学部に
入学した。
大学でも時間が許す限り
新と一緒にいた。

あれ以来·····
新は、優しく私を抱くように
なった。

新は、六年で医学部を卒業して
大学病院に入った。

そして、私が大学を卒業すると
直ぐに入籍した。
皐さんは、凄く喜んでくれた。

私の父親には、皐さんが
知らせてくれたが
父は、
「そうですか。」
と、言っただけらしい。
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