「のう、陽向。桜の花言葉、知っちょるか?」


「そう言われてみたら、今まで考えたこともなかったのう。航ちゃんは知りよるん?」


「当たり前じゃろうが。教えちゃろうか?」





桜は苦手じゃ。


咲いた思うたら、すぐ散ってしまうけえ。


儚いけえ。


ひとの心みたいに、ひとの命みたいに、儚いけえ。


満開の雪桜が春の雨で一気に半分散ってしもうた、あの日。


『うちにはもう、時間がないようじゃ』


そう言うて、彼女は切なげに微笑んだ。



――――――――――――――――――――
安心しんさい。
――――――――――――――――――――
今夜、最後のいち輪が散って、明日、朝日が
――――――――――――――――――――
この町を明るうした時。
――――――――――――――――――――
うちに関わった全ての人の記憶から、うちの
――――――――――――――――――――
存在は消えるはずじゃけえ。
――――――――――――――――――――
じゃから、あんたは見つけたその道をまっす
――――――――――――――――――――
ぐ行きんさい。
――――――――――――――――――――
自分を信じて、歩きんさい。
――――――――――――――――――――
どげに辛ろうても、生きるんじゃ。
――――――――――――――――――――
しっかりしんさい。
――――――――――――――――――――
あんたはひとりじゃないんじゃけえね。
――――――――――――――――――――





「桜の花言葉はのう、私を忘れないで、なんじゃと」






この作品のキーワード
  高校生  奇跡      生きる  初恋  約束