秘書課恋愛白書

「品行方正を心掛けてプロフェッショナルであり続ける。雇い主に一切の恋愛感情を抱かないこと」

「さすが中原」


もちろんお前のことだから何もないと思うけど一応な?と部長は笑ってみせた。

さすがも何も、決まりごとなんだから守らないわけがない。



「中原のことだから絶対ないとはわかってるけれど」

「確かに前社長は女性でしたが、2年前までは普通に男性の社長数名の元で働いていたんですよ?」

「すまんすまん。その調子で頑張ってくれ」



耳がタコになるくらい言われ続ける社訓にはわけがあった。

この仕事であるからこそ社長や地位の高い人の元で働けるわけで玉の輿を狙った恋愛関係に持って行こうとする人が後を絶たず仕方なく作られた三つ目の社訓。

恋愛関係になるのはまだ良いとして、そのまま専属として引き抜かれたり寿退社されたりと会社にとって不利益が続いたことが原因だと聞いたことがある。


イケメンだろうがなんだろうが私は上司に従って自分の仕事をきっちりこなすだけだ。


気合いを入れて明日から始まる仕事の準備に取り掛かるのだった。




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