秘書課恋愛白書

ただ、これから先は仕事としてお仕えする立場であってそういう問題以前の関係になるだけだからゆきちゃんの言うように"目の保養"として拝ませてもらおう。

性格がひん曲がってようが社長と部下の関係。


顔良ければそれでよし。

私も相当現金な女だ。

コンコンと扉にノックする。


「Mキャリアから参りました、中原です」



…………。

あれ、おかしいな…反応が全く返ってこない。

静かな廊下には私のノック音だけが木霊する。

コンコンコン。

今度はちょっと強めに扉を叩く。

それでも返事は返ってこない。


本当にここであってるの?


一歩下がって扉の金プレートを確認するがそこには社長室の文字があるし、ここは社長専用のフロアのはず。

分厚く重厚な造りになっているのは承知の上で耳を押し当て中の様子を探るも無音。


9時までに社長室に来るようにって連絡してきたのはそっちなんだけどなあ。


その場で少し悩んだ末に私が出した結論はこうだ。

1、あまりに広すぎる社長室で私のノックの音が聴こえなかった。

2、音楽を掛けてて聴こえなかった

3、呼ばれた場所を間違えた。


今までの経営者の雰囲気から今回のを推測すると1が妥当だ。
< 23 / 320 >

この作品をシェア

pagetop