BLUE GIRL

しあわせな誕生日


翌日、眠れない夜を過ごし、スタジオに入る。

食欲もなく朝ごはんは栄養ドリンクで済ませた。


昨夜、Ryoに帰路に着いたと報告の電話を入れたけれど繋がらなかった。寝落ちしてしまったのだろうと思っていたが、今朝、謝罪のメールが届いた。


海の誕生日の頃から思うように曲が作れずにいたと綴られていた。


海のためにシンガーソングライターになり、海のために歌い続けている。
Ryoには私にも理解しきれない程の哀しみと重圧がのしかかっているのだ。


「羅依さん、おはよう」


鈴音のような美しい声が迫り、顔を上げる。


「おはよーー」


「週刊誌見た?」


可愛らしい声に反して眉間にシワを寄せた彼女の手には、例の週刊誌。


怖くて今朝はニュースを見なかったが、ユウの話題で持ちきりだったはずだ。


「見ました…」


「あの写真、最悪よね。唇でなく帽子っていうのがまた、本気アピールみたいで吐き気がするわ」


「本気アピール?」


私服なのか胸元がざっくりと空いたワンピースはショート丈で、今まで見た彼女の服装よりも気合の入ったものだった。


同性の私でさえ目のやり場に困る。



「まだ手を出していないくらい、大切にしてます。って感じがして」


いえいえ、手は出されてます。
なんて口が裂けても言えない。



「本気なんでしょうね。結婚も近いかもですね」


雪乃さんの圧力に屈せずに、ユウに加担しておく。

残り1週間はユウの命令に従ってやろう。
それが私がユウにしてあげられる、最初で最後のことだろうから。

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