王子は冒険者になる!

過大評価じゃないですか?



***


王子ってさぁ、なんか 何でも優秀ってイメージがあるじゃん?
勉強もできて
剣もうまくて・・・

って、そんな訳ないからなっ。

そりゃ、幼いころからの英才教育のたまものである程度はできるけど
それ以上は「才能」だと思う。

剣もある程度はできるが
一つ下のマーカーには勝てる気配もない。
他の同年代とは勝てたりするが、
冷静に分析しても・・・中の上。ってのが俺の実力だろうなぁ。


っち。


悔しいけど、剣の鍛錬は好きだし
体を動かすのも好きだ。

だから、ふてくされて鍛錬をさぼることはしないが・・・


俺は、朝、部屋の周りと中庭をぐるりとジョギングをすることにしている。
ホントは一人でやりたいが まぁ、立場上そうも言ってられないから
護衛騎士と、奥にセーラかリィアが暖かーーく見守る。

最初は気恥ずかしかったけど、
もう今は「みられる」ことに慣れてきた。
うーん。違うなぁ。「見守られる」かな?

朝のジョギングを済ませた後
俺の警護騎士であるビラットがタオルを持って近寄る。

ちなみに、赤髪の騎士、ビラットは正式な俺付きになったらしい。
よくわからんがピンク頭の騎士フィロスは、
いつも通りの護衛騎士。なんだと。


ちょっと前に、正式に専属になりますという報告とともに騎士ビラットから、
忠誠を誓う。みたいな「騎士の祈り」をささげられそうだったから
断っといた。

え?失礼って?

だって、忠誠をささげて祈られるともし俺に何かあったときとか
めんどうだし、たぶん『責任』を取らされるしな。

ただの人事辞令なら別に 俺につこうが、城の警備だろうがいいが

魔法契約にあたるらしい「騎士の祈り」って
そんなキレーで幻想的なもんじゃないぜ。
あれは、人権無視の人の魂までも束縛する奴だって。


ビラットは良い奴だからなぁ。
俺のために死んでほしくないし、
ほら、俺、そのうち「王子」やめる予定だし。

「ありがとう、騎士ビラット。」

タオルを受け取る。
軽く汗を拭いたら、侍女のセーラが静かに近寄ってきて
今日の予定を読み上げる。
今日は、歴史学があったよなぁ。
苦手 なんだよなぁ。

と思ってたら思いもよらない訪問の依頼があった。



「え?モンレ公爵・・・?」



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